生まれ変わりの条件

2.神様からの二者択一



 僕が天使業を始めたのは、今からおよそ六十数年前の事だ。

 かつては地上で、人間として生きていた僕が、何らかの理由で死に至り、先輩天使が僕を迎えに来た。

 その時、初めて神様と呼ばれる存在に会ったのだ。

 通常なら天界へ送られた魂は、そのレベルを役人によって判断され、輪廻転生の道へと乗せられる。

 しかしながら、僕の場合はどうやら《《例外》》と呼ばれるものだったらしく、直々に神様のお膝元へと招集された。

 神様は光の集合体で、姿、形こそ見えなかったが、声ははっきりと届けられた。

『例外のお前には、二つに一つの選択をして貰う。
 一つは人間以外の生物に生まれ変わる道だ。動物と静物の選択はできるが、それ以外は自動的に割り振られる。
 そしてもう一つは、ここで天使業を経験し、9万9千1の魂を無事に成仏させてから人間として生まれ変わる道だ。
 さぁ、どちらを選ぶ?』

 僕は出された条件を思案し、たじろいだ。天使が迎えに来たにも拘らず、どちらも好条件とは思えなかったからだ。

 前者は動植物や虫などの生き物へ転生し、後者は気が遠くなるほどの魂を成仏させなければ、人間には生まれ変われないと言う。
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