意味不明彼氏


「おっ!姉ちゃん、一人?」


突然後ろから声がして、肩を掴まれた。


一瞬にして、全身の細胞が拒否反応を示す。


「いや…。一人じゃないですけど」


「いや、どう見ても一人じゃん。良かったら俺と遊ぼうよ。」


男は全く引き下がらない。

引き下がらないどころか、あたしの腕を強く掴む。


離さないよ?


目でそういっている。

でも、これぐらいの力なら問題ないんだけどね。


「いや…。本当、結構なんで」

「そんな遠慮しないでよ?何でも奢ってやるからさ」


………。


男の声が頭の中で何度もリピートされる。


「本当に、奢ってくれるんですか?」


あたしがそう言うと、男は笑みを浮かべ始める。


「うん、何でも」


うわ…。

どうしよう。


ナンパだって分かっていても…。

奢りには弱い、あたし。

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