意味不明彼氏


でも、あたしには蓮がいるし…。

「すいません。他をあたってくれませんかね?」


あたしの後ろから突然、聞きなれた声がした。


そして一瞬にして、あたしはグイッと後ろに引っ張られた。


……蓮だ。


男は、悔しそうな顔を浮かべて蓮を睨む。

蓮も、それに負けないほどに睨む。


男は舌打ちだけを残して、去っていった。


「はあ…っ。帰ってくれた。良かったあ」

あたしは緊張がほぐれ、安心する。


「良かったじゃねえよ!」


蓮は突然怒りはじめた。


「お前は奢ってくれれば、誰でもいいのかよ!?」


蓮はそう怒鳴って、あたしの頭を軽く叩く。


「だって…」


蓮、奢ってくれないし。

所持金100円だし…。

腹、超減ったし。


そう口で言おうとしたが、やめた。


蓮はひとつため息をついて、あたしを見る。


「何か食いたい物はある?」






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