意味不明彼氏


「いった…」

涙を浮かべながら、上を見上げると眉をひそめている蓮の姿があった。


きっと、叩いたのは蓮。


「ったく…、何を妄想してたんだか…」


蓮は首を傾げながら、あたしの前の席…つまり千明の席に腰をおろす。


「ほらよ」

蓮の手から、何かが飛ぶ。


そしてそれをあたしは両手でキャッチした。


恐る恐る目を開けると…そこにはあんぱんがひとつ。



「え、あ…。ありがと……」


まさか本気で買ってくれるとは…。


どうせならもっと高いものにすればよかった。


「いーえ」


蓮もあんぱんを買ったらしく、食べながら微笑む。


蓮の微笑みは確かに、かっこいいし、爽やかだし…。


非の打ちどころがないよ…?


でもこの人…、本当に蓮なの?


蓮は奢るっていう立場より、奢れ!みたいな立場の人だから…。


おかしすぎる…。

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