意味不明彼氏
「蓮は…、あたしと別れたいからいつもより優しくしてるの…?」
聞かずにはいられなかった。
……聞いてしまった。
蓮は目を大きく開いて、あんぱんにかじりついたまま、あたしから視線を逸らさない。
図星?
いや、そんなはずはない。
「どんな頭してたら、そんな答えがでるわけ?」
蓮は切ない顔を浮かべて呆れていた。
「だ…っ、だよね」
何か…心配させたかな?
あたしの心の中に、後悔が募りはじめる。
「俺…嫌いな奴に、優しくできる程器用な男じゃねえよ」
蓮は顔を真っ赤に染める。
そして真っ赤な顔を隠すようにして、下を俯く。
そんな蓮に、あたしの胸の鼓動が激しさを増す。
教室はざわざわとうるさいのに、あたし達の空間だけとても静かだった。
「じゃあ、あたしの事好きなんだ」
あたしがそう言うと、蓮は吹き出す。