意味不明彼氏

「あの…ッ、とりあえず、返事は…いつでもいいからさ?」


一樹はそう言うと、鞄を持ってそのまま教室をあとにする。


あたしはもう、放心状態。


「千明…。あたし…、告白された…んだよね?」


「多分…。いや、絶対…。」


千明もドアだけを見つめて、首をかしげた。


「……、嘘だ…。そんな筈はないよ…。だって、そんな素振り一回も見せなかったんだよ?」

「……蓮君と、別れたからじゃない?」


千明が腕を組みながら、そう言った。

……そうか。


それなら、いきなり告白されたのも…。

全ての謎が、ひとつに繋がる。


どうしよう…ッ。

あたしはどうすれば…ッ


目を泳がせると、突然、蓮と目が合う。


蓮も予想外の展開だったらしく、目を大きくさせていた。


「……れ…ッ」


あたしは無意識に蓮を呼び止めようとしていた。



だけど、ハッと我にかえる。

……蓮があたしと目を合うなり、すぐ逸らしたからだった。