意味不明彼氏


「千明…ッ!!」



千明があたしの肩とぶつかり、よろめきながらもそのまま教室を飛び出す。


あたしは深波の胸ぐらを掴む両手を離し、千明の後を追う。

だけど、もう千明の姿はどこにも見当たらなくて。



……全部…。

全部、この深波のせいだ…。


後ろを振り向き、深波を睨む。


「あんたねえ…ッ!!」


ふたたび深波を殴ろうとした。


ドゴ…ッ


卑劣な音が薄暗い教室の中に大きく響いた。


何が起きたのかわからなかった。

目に溜まる涙を弾き飛ばすと目の前にいた深波が視界から消えていた。


……まさか。

視界がぼやけているせいで、何も分からない。


あたしは思い切り目をこすった。


「……ッ、え?」


ぼやけながらも見える景色に、言葉を失った。





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