意味不明彼氏
その言葉に蓮は目を大きく見開いて、言葉を失う。
「……は?」
絞り出して出た声だった。
「……本当だよ」
「待てよ。何で、俺に言うんだ?俺とお前はもう何もないんだぜ?」
もう……。
彼の一言が、胸に痛く…冷たく突き刺さった。
「相手は誰だよ…?」
その言葉を聞くと、身体全身の細胞が震え始める。
そうか。
もうあたしと蓮はただの他人。
蓮から出る言葉はただの他人事。
それが痛い程、よくわかった。
「相手は…、わかってる。分かってるけど…ッ!!」
♪~♪~
突然、葵の声を遮って蓮の携帯が音を出して振動する。
蓮は面倒くさそうに、ズボンのポケットから携帯を取り出す。
しかしサブ画面を見るなり、表情は変わった。
嬉しそうというか…。
言葉には表現できない。
だけど、分かる。
相手は、"好きな女"だと…。
「ちょ…っ、待って」
彼はそれだけ言うと、あたしとしばらく離れた。