意味不明彼氏
「……一樹とは…、親友だし」
蓮の表情は暗くてよく見えないけれど、きっと熱いくらいに真っ赤だろう。
……それが、蓮だから。
蓮と優と一樹の絆はすごいと改めて感じた。
お互いを犠牲にしてお互いを守るなんて…。
「……一樹はあたしの事好きじゃないんだって。蓮に嫉妬を覚えて欲しかったらしい」
「………マジ?」
「大マジ」
「……マジ、でぇ?」
蓮は、らしくない声を漏らす。
「だから、マジだって言ってんじゃん」
……あたしは笑いながらも、涙は止まらなかった。
こんなに…
こんなに君を想っていただなんて…。
こんな感情…
君がいなければ、
あたしは知らなかったよ…。
「あたしは…、蓮と離れた時間がすっごい長くて生きてる気がしなくて…嫌いじゃないのに嫌いとか言っちゃたりさ…あ」
嗚咽交じりに喋る声は自分自身でも聞き取りづらかった。
「力だけ無駄に強くて、女の色気の欠片すらもなくて…こんな女と付き合うのはもう御免だって思ってるかもしれないけ…ど」
……、もう一度、あの時のように。
桜が満開だったあの季節のように…。
満月があたしと蓮を照らす。