意味不明彼氏


「……そうだよね。蓮って経験豊富なんだよね。そりゃあ、あたしの身体を見ても何とも思わないわけだ…。葵さんとかも、結構スタイル良かったもんね…」


「…別に、そういうつもりじゃ…」


「じゃ、何であたしと付き合ってるのー?遊び!?」


あたしはわざとらしく机をバンと叩き、蓮を睨む。


「……俺は、遊びで付き合えるような器用な男じゃない」


蓮は顔を真っ赤にさせながら、ボソッと呟いた。


「……蓮」

「だから早く終わらせて。終わったら…」


蓮は一息ついた。


「まぁ、いいや。とりあえずやれよ」


蓮はペンを回しながら、あたしに言った。



「は!?いい逃げかよ、ありえない」

「うるさい、気にするな」


気にするな、といわれたら余計気になるよ。


この言葉は胸にしまっておいて、あたしは再び勉強に取り組んだ。



「お前…結構できてるよ」


蓮が頬杖をつきながらあたしにそういった。


うん…、確かに。


今まで方程式見るだけで頭が痛くなったりしたけど、今は違う。


……頭がさえてる。


「お前は、元からできるんだよ。できるものをお前は逃げていただけ。あと少し頑張れば、俺より頭良くなるんじゃないか」

「何でアンタ基準なの」


あたしは蓮の顔を見て、笑った。

蓮も、満面の笑みを返してくれた。
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