意味不明彼氏


「し…ッ、してないです…ッッ」


顔の前で右手をブンブンふって、否定を強調した。



「嘘つくなぁ!あれ、本当に蓮が助けにこなかったらあたしヤラれてたんだよ!?」


「ヤラれてたぁ!?」


一樹が驚きを隠せない様子で、そう叫んだ。


「キャーーッツ!!」


エリ子が悲鳴なのか、またや泣き声なのか分けのワカラナイ声を出した。


キャッツって…。


誰?


てか、猫?


「これ以上、言ったらもう一度あの男共を連れてきますよ?」


あたしの耳元でそう囁いた。


「はぁ?連れてくるもんなら、連れてきなさいよ。あんたがまた蓮に嫌われるだけだよ」


あたしがそう言うと、エリ子は頬を膨らませた。


「え…ッと、エリちゃんてさぁ、まさか蓮の事好き…だったりする?」


笑っているが、明らかに顔を引きつっている一樹。


…正直、こんな一樹見た事ないかも。


「はい、一応小中高一緒なので、かれこれ5年以上片想いしてます」


語尾にハートが5つ程つきそうなくらいの、高い声で言った。


これで分かったこと。


どうやら蓮とエリ子は、幼なじみという関係らしい。


…蓮はそんな自覚ないと思うけど。




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