意味不明彼氏

「へぇー……」


一樹の顔に曇りがかかる。


エリ子は、何を妄想しているのか上の空。


………まさか。


「一樹、アンタの好きな人って……」


エリ子……?


あたしは一樹の耳元でそう囁いた。


一樹の顔は一瞬で、真っ赤に染まり。

耳まで真っ赤だ。


この顔で分かった。


「……マジ、かよ」


てか、今知ったのかよ、的な?


あんなにエリ子は蓮にベタベタしているのに。


好き丸出しなのに…。


超が付くほどの鈍感。


…いや、ただの馬鹿なのかもしれない。

実際、馬鹿だから今如月家に足を踏み入れているのだ。


…あたしが言うな、って感じだけど。


「お前、絶対言うなよ!?言ったら、殺す!」


殺す…って、また。


「告りゃぁ、いい事でしょ」


エリ子は妄想中で、きっと何も聞こえていないであろう。


「お前、な…ッ、無理だよ!!相手は蓮だぞ?蓮に敵うわけがないだろ!」


「まあね」


一樹は、蓮の容姿のどれだけすごいのか分かっているらしい。