意味不明彼氏

それでも好き


* *

「ねえ?蓮、どうして花坂さんだって分かったの?自白?」


あたしはちょっと意地悪のつもりで、耳に息を吹きかけながらそう言った。


「だいたい分かってたんだよ。怪しいなって」


「えーすごい。蓮って意外に頭いいんだね」



「意外は余計だろ。」


そう言って笑う蓮が本当に、愛しいと思った。


やっぱり、あたしはこの人を好きになってよかった…。


さっきまでの自分に後悔した。


「でもさ、どっから分かったの?」

「お前がストーカーされているっていう時点で。」


即答する蓮に、首を傾げる。


だって、その時まだ花坂さんに会ってないし。


「だってさあ。考えてみろよ」


蓮は、相変わらず笑い続けている。



「こんな凶暴で可愛くもない女にさあ、ストーカーする奴がどこに…ゴホッ!!」


あたしは素早く蓮からおりて、背中を蹴った。


その衝動に蓮は、前に倒れこみ咳を込む。
< 49 / 372 >

この作品をシェア

pagetop