爽やかエリート御曹司は年下妻を可愛がりたい、愛したい。
「……そっか」
「うん、そろそろ迎えにくるんじゃないかしら」
今日は結婚式。お祖父様と彼方のご両親の希望で大きな神社で神前式をすることになっている。入籍は式が終わったら提出する予定だ。
和樹と話をしていれば、ドアのノックがされて案内係の巫女さんが迎えにきてくれた。
「藤間様、お時間がまいりましたのでお願いします」
「……はい」
返事をすると巫女さんに付いていく。その先にいるであろう結婚する相手と初対面するから少しだけ緊張する。いい人だといいんだけど……
お相手の方に近づいたが、彼は私を見ない。この結婚が本当に嫌なんだろうなと思いながらも「藤間奏和、です」と名前だけ言う。
反応ないんだろうなと少しだけ寂しく感じていると「……ぇ」と微かに声が聞こえた。
「……奏和、ちゃん……?」
その声は私の知る声で、私の名を呼んだ。