爽やかエリート御曹司は年下妻を可愛がりたい、愛したい。
「あれ、奏和ちゃん?」
「誠さん……誠さん起きてたんですね」
「少し眠れなくてね」
「そう、なんですね。私もです……あの、誠さん」
聞くなら今だと思い誠さんのパジャマの裾を掴み呼び止める。
「……っ……」
誠さんの背が高いから上目遣いになってしまうけど、ここはちゃんと話をしないと。
「誠さんは、私との縁談は嫌だったのですよね?」
「……っ、ち違う……っ」
「なら、なんで。私とは一度も会ってくださらなかったのですか? 私があの日、あんなメモを置いていったから怒っていらしてるんですか?」
「怒ってない、怒ってないが……知らなかったんだ。俺は、奏和ちゃんが縁談相手だと知らなかった。いや、知ろうとしなかった。本当に申し訳ない」
なら、仕方ないのかな。私だって相手の名前を聞いたり相手のことを知ろうとしなかったんだから同類だ。