星みたいな恋をしよう
仮にアーサー教授のことを絆が話したら、オスカルは聞き込み中だろうが会議中だろうが、どんな用事があったとしてもあの車で駆け付けて来るだろう。そして、絆を抱き締めるに違いない。長く華奢に見えてしっかりとした腕で、絆を抱き締めてくれるだろう。その温もりを思い出した絆は、ふと不思議に思う。

(あれ?どうしてあたし、今、オスカルさんに抱き締めてほしいなんてーーー)

自分の気持ちが最近、よくわからなくなっている気がし、絆は唇をグッと噛む。オスカルは絆のファーストキスを奪い、ストーカーまがいなことを平気でする人物だ。だが、絆はふとしたことでオスカルを頭に浮かべている。

(オスカルさんのことじゃなくて、事件の解決に繋がることを考えなきゃいけないのに!)

苦手意識を抱いている男性のことを考えているなど、絆にとって非常に屈辱的だ。唇を噛む力が強まる。すると、オスカルに名前を再び呼ばれる。

『絆、大丈夫じゃないなら「大丈夫」って言わなくていいよ。すぐに行くから』
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