星みたいな恋をしよう
「オスカルさん、もう大丈夫なので……」

絆は恥ずかしくなりオスカルの胸板を押すと、ビクともしない。オスカルは「離さない」と言わんばかりにさらに強く抱き締めてくるため、絆は諦めざるを得なかった。足掻くだけ、体力の無駄である。

「オスカルさん、ありがとうございます」

絆はそう呟き、空を見上げる。空にはいつの間にか、いくつもの星が煌めいていた。

(あった。春の大曲線と大三角)

北斗七星、オレンジ色をしたうしかい座のアルクトゥールス、白色のおとめ座のスピカ、そしてその先にあるカラス座までのカーブを春の大曲線と言い、アルクトゥールスとスピカ、そしてしし座のデネボラの三つを繋いだものを春の大三角と呼ぶ。

ビールを飲んだため、頭がぼんやりとしてしまう。だが、そんな頭でも目の前で煌めいている星を、とても美しいと絆はわかっていた。そして、今も自分を抱き締めているオスカルのことも、「綺麗」だと思っている。

「初めて会った時、あたし、オスカルさんのことをシリウスみたいに煌めいていて綺麗だなって思ったんですよ」
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