星みたいな恋をしよう
「ありがとうございます、ボス」

オスカルはそう言い、救急車に乗り込む。扉が閉まるとすぐ、救急車は近くの病院に向かって走り出す。

「絆、お願いだから戻って来て!死んだら許さないから!」

絆の手をオスカルは握る。その手は恐ろしいほど冷たく、初めて絆と会った時に触れた手とは別物だ。

「急患通ります!道を開けてください!」

病院に到着するとすぐ、絆は手術室へ連れて行かれる。出血が酷いこと、そしてナイフに塗られた毒により、絆の状態はかなり深刻なものだと医師や看護師は話していた。

「絆……」

手術室の出入り口の上に取り付けられたランプが赤く灯る。オスカルは手術室の前に置かれた椅子に座り、絆の名前を何度も呟きながら手術が終わるのを待った。



「んっ……」

絆が目を覚ますと、そこに広がっていたのは暗闇だった。辺りには明かり一つなく、上を見ても下を見ても何もわからない。

「ここはどこ?あたし、何をしてたんだっけ?」

何も思い出せないまま絆は歩き出す。どこに行けばいいのかわからないが、ただ足を動かした。暗いこの場所は、体が震えてしまうほど寒い。
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