星みたいな恋をしよう
絆はこのアパートで今は一人で暮らしている。「今」は……。2LDKの部屋は、絆には寂しいほど広すぎる。

数分間肩を震わせて泣いた後、絆は顔を上に上げる。顔を上に上げて空や天井を仰いでいると、涙が止まっていく効果がある。

「……学校に行く準備をしなきゃ」

無理に笑顔を浮かべ、絆は急いで紅茶を飲み、パジャマから私服へと着替える。白いシャツにミントグリーンのパンツを履き、首にスカーフを巻いてイヤリングもつける。メイクも済ませ、かばんを手に絆はアパートのドアへと向かう。

「行ってきます」

行ってらっしゃい、そう返してくれる人はいない。だが、いつも絆は言ってしまう。あの日のように……。

鍵を閉め、駅へと向かう。絆はロンドンにある大学に通っている三年生だ。心理カウンセラーを目指しており、大学では心理学を勉強している。もうそろそろ就活を頭に入れなくてはならない時期が近付いてきている。

「就職先、どこにしよう……」
< 2 / 151 >

この作品をシェア

pagetop