星みたいな恋をしよう
学校でスクールカウンセラーとして働くのか、診療所で働くのか、考えれば考えるほど悩んでしまう。

「う〜ん……」

顔を顰めながら絆はかばんの中からイヤホンを取り出し、耳にさす。耳に流れてくる音楽のイントロに、絆の中にまた思い出が流れていく。

『この曲、おすすめ。歌詞がめちゃくちゃいいんだ!』

絆は慌ててその曲を飛ばす。最近聴き始めた洋楽が流れ出し、それにホッとしつつ絆は窓の外を流れる景色を見つめた。

十五分ほど電車に揺られた後、絆は電車を降りる。駅から出て大学までの道を歩いていると、「絆!」と声をかけられ、肩を叩かれる。

「テイラー、おはよう」

絆に声をかけたのは、絆の友達で大学の同じ学部に通っているテイラー・グリーンだ。セミロングの金髪に緑の目をした美人な女性である。

「絆、今日講義が終わったら部屋に来てって教授が言ってたよ」

「教授が?」

心理学を教えているアーサー・ブラックベル教授の顔が絆の頭に浮かぶ。紅茶と甘いものが大好きなおじさん教授だ。
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