星みたいな恋をしよう
誰もいないのは少し寂しい。だが、静かな方が天体観測にはもってこいだ。今日は晴れており、夜空に星がいくつも輝いている。

「今日も綺麗……」

望遠鏡を地面に置き、レンズを絆は覗き込む。肉眼では遠くに見える星が、レンズ越しだとまるで目の前にあるかのように感じる。美しい星たちをただジッと見ていた。

「スピカ、見つけた」

おとめ座を構成する星の一つ、スピカを見つけた。おとめ座で最も明るい星で、青白く輝いているのが特徴だ。星言葉は、「抜群のセンスと直感力」である。

青白く輝く春の星と夜空をジッと見つめていた絆だったが、「Dobry wieczo’r(こんばんは)」と突然耳元で囁くように言われ、目元を何者かに手で覆われてしまう。

「きゃあッ!」

驚いて絆が悲鳴を上げると、「オスカル!」と怒る声が聞こえた。FBI捜査官のエマの声である。嫌な予感しかしなかった。

「絆、こんなところで会えるなんて偶然だね。やっぱり俺たちは運命の赤い糸で結ばれてるのかな?」
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