星みたいな恋をしよう
アーサー教授の表情や雰囲気は、課題に不備があった生徒を呼び出したものではなさそうである。戸惑いながら絆がアーサー教授の前に置かれた椅子に座ると、淹れたての紅茶の入ったティーカップを出された。

「飲みなさい。スコーンやケーキも好きなだけ食べていいからね」

「あ、ありがとうございます……。あの、教授はどうしてあたしを呼び出したんですか?先日提出した課題に何か不備でもありましたか?」

紅茶を一口飲み、絆は訊ねる。スコーンに苺ジャムを鼻歌混じりに塗っていたアーサー教授は、すぐに「とんでもない!」と否定した。

「君の書いた犯人像は素晴らしいものだった。講義を受けただけだというのに、素晴らしい分析力だと思うよ。他の心理学の教授はもちろん、FBIの人たちも驚いていた」

「えっ……」

絆は紅茶を飲もうとして、そのまま固まってしまう。突然褒められて照れているわけではなく、混乱しているためだ。

学生たちの書いたレポートは、通常は大学の教授にしか見せない。アーサー教授はFBIなど各国の捜査機関の捜査に犯罪心理学の視点から助言をしているという噂は耳にしたことが絆はあった。それは本当だったのだ。
< 5 / 151 >

この作品をシェア

pagetop