星みたいな恋をしよう
「ちゃんとご飯は食べなきゃダメ」

光里に手を引かれ、食事はいつもホテルにあるレストランか、駅の近くにあるファミレスなどで食べた。食欲はあまりない。だが、光里は「少しでもいいから食べなさい」と言い、笑った。

「残したら私が全部食べるから」

「うん……!じゃあこれにするね」

チーズが中にたっぷり入ったハンバーグを絆は注文し、数分後に運ばれてきた湯気の立っているハンバーグをナイフで一口サイズに切り、恐る恐る口の中に入れる。

「おいしい……」

あの家にいた頃は、食事を楽しむことができなかった。いつも家事に追われ、次第に食べること自体が億劫に感じるようになっていた。何を食べてもおいしいとは思えなかった。それが今、おいしいと思えている。

「光里姉、これすごくおいしい!」

絆が泣きそうになりながら言うと、光里もどこか泣きそうな顔になりながら「よかった」と笑う。

家から連れ出されてからは、絆は少しずつ食べたり、眠ることができるようになっていった。死にたいと思わなくなっていった。
< 59 / 151 >

この作品をシェア

pagetop