星みたいな恋をしよう
アーサーのアクアマリンのような淡い青の瞳が、ジッと絆を捉える。親切心で彼は言ってくれている、言葉だけを聞けばそう思うだろう。だが今、絆は恐怖を感じている。指先が微かに震えていることがわかった。

「アーサー教授、調査はオスカルさんたちのおかげで、少しずつ進んでいると思います。なので、大丈夫です」

震える声で絆は言う。まるで、腹を空かせた獰猛な獣に追い詰められた草食動物のような気持ちに絆はなっていく。優しいはずのアーサーには、どこか底なし沼のように深い闇があるように見えた。

「どこまで捜査は進んでいるの?絆は事件が起きてすぐ、僕に「光里の婚約指輪が盗まれた」としか言ってくれなかったから……」

アーサーがベンチからゆっくりと立ち上がり、近付いて来る。絆は体を震わせたまま、一歩ずつ下がっていった。

(怖い、いきなり教授はどうしてこんなことを訊くの?今までこんなこと、一度もなかった。どうしてこんなにも、アーサー教授は今怖いの?)
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