【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。

「すまない、クリス殿。彼女は貴重な魔法騎士であるが故、彼女の魔力について少々相談したいことがあって、だな」
　もしかしてこのブレナンという男は気付いているのかもしれない。フローラの魔力が徐々に解放されている、ということに。
「悪いが、昨日。彼女の魔力を鑑(み)せてもらった。クリス殿は、彼女の魔力を鑑(み)たことは？」
　ブレナンからそう言われ、結局彼女の魔力鑑定をしていなかったことにクリスは気付いた。
「いいえ。無いですね」
「だったら、今すぐ鑑(み)てもらいたい。話はそれからだ。」
　そう言うブレナンの顔がどことなく険しく見えた。ブレナンとクリスの顔を交互に見ているフローラは怯えているようにも見える。
「フローラ、大丈夫ですよ。少し、私にもあなたの魔力を鑑(み)せてもらいたいのですが。よろしいでしょうか？」
　フローラはゆっくりと頷いた。両方の手のひらを上にしてそっと差し出す。その手にクリスが自分の手を重ねる。
　クリスは自分の魔力をフローラに流し込んだ。フローラが、少し呆けているように見えた。