【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「フローラ、終わりましたよ」
 クリスの優しい声が響く。
「クリス殿」
 フローラの魔力鑑定を終えたクリスに視線を向けるブレナンだが、クリスもそのブレナンが言いたいことをなんとなく察する。
「フローラ。あなたと時間を共にしたいのはやまやまなのですが、今は、ブレナン殿と話をさせてもらえないでしょうか?」
「はい。ブレナンさんもそれでよろしいのでしょうか?」
「むしろクリス殿と二人きりで話す機会が欲しいと思っていたから、ちょうどいい」
 そうですか、とフローラは少し首を傾けた。この二人が何か企んでいるのではないか、ということを少々心配しているのだろうか。いや、むしろ、クリスがブレナンに何か失礼な態度をとるのではないか、ということも恐れているのかもしれない。
 それは、初めて顔を合わせた時の、クリスの国王陛下や宰相への態度があったからだろう。
「あの……、クリス様。くれぐれもブレナンさんに、失礼な態度をとらないように、お願いいたします。その……、ブレナンさんは私にとって、恩人のような方ですので」
「失礼な態度。それは、ブレナン殿に向かって『娘さんを私にください』と言うことでしょうか?」
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