【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「はい」
フローラはそう返事をすることしかできなかった。
「この国の政略によってお付き合いを始めたのでしょう? 好きになった相手ではない、というわけよね」
「最初はそうかもしれませんね」
膝の上で両手を組んでいるフローラは、クリスとの出会いを思い出していた。あのような出会いから、このような関係になるとまで誰が想像できていただろうか。恐らく、あの国王陛下と宰相くらいだろうか。
いや、もしかしたらクリスはこうなることを望んでいたのかもしれない。
「私にも縁談がきているの。もちろん、お会いしたことのない相手だわ」
そのジェシカの言葉に驚いたフローラは顔を横に向けた。
「あら、そんなに驚かないで。今までそのような話が無かった方がおかしいくらいなのだから」
自嘲気味にジェシカが言う。
「相手は、アリハンスのアルカンドレ第一王子よ」
「まあ」
フローラは、そういった浮ついた話が好きである侍女のような反応をした。
「素敵なお話ではありませんか?」
「だけど、お会いしたことは無いのよ。あなたも知っての通り、この国とアリハンスはアリーバ山脈によって、隔てられているでしょう? 簡単に行き来できるような距離ではないもの」
フローラはそう返事をすることしかできなかった。
「この国の政略によってお付き合いを始めたのでしょう? 好きになった相手ではない、というわけよね」
「最初はそうかもしれませんね」
膝の上で両手を組んでいるフローラは、クリスとの出会いを思い出していた。あのような出会いから、このような関係になるとまで誰が想像できていただろうか。恐らく、あの国王陛下と宰相くらいだろうか。
いや、もしかしたらクリスはこうなることを望んでいたのかもしれない。
「私にも縁談がきているの。もちろん、お会いしたことのない相手だわ」
そのジェシカの言葉に驚いたフローラは顔を横に向けた。
「あら、そんなに驚かないで。今までそのような話が無かった方がおかしいくらいなのだから」
自嘲気味にジェシカが言う。
「相手は、アリハンスのアルカンドレ第一王子よ」
「まあ」
フローラは、そういった浮ついた話が好きである侍女のような反応をした。
「素敵なお話ではありませんか?」
「だけど、お会いしたことは無いのよ。あなたも知っての通り、この国とアリハンスはアリーバ山脈によって、隔てられているでしょう? 簡単に行き来できるような距離ではないもの」