【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
15.黒い思惑
ジェシカの外交の日取りが決まった、という連絡を受けたのは、それから一か月以上も経った頃。外交、とは言っているが、ようするにジェシカとアリハンスのアルカンドレ第一王子との初顔合わせだ。
今日の仕事を終え、帰宅しようとしたときに、アダムに呼び出されたフローラとエセラ。彼女たちは今、その話を聞き終えたところ。
二人は仲良く並んでソファに座り、ローテーブルを挟んだ向かい側にはアダムがいる。
そして、このアダムの話に続く言葉。
「君たちには、ジェシカ様のその護衛を頼みたい。だが、いささかどころではなく、いくつか問題がある。だから断ってもいい。俺だって、君たちのような優秀な騎士を失いたくないと思っている」
そんな前置きは、かなり危険な内容であることを示唆しているように思えるのだが、口にしているアダムは気が付いていないようだ。
そもそも、今回の内容はジェシカが隣国のアリハンスに足を運ぶだけ。それにも関わらずその前置き。一体どういうことだろうか。
「団長。今回の任務は、そのジェシカ様の外交の護衛ですよね。普通の外交とは異なるのでしょうか」
エセラが尋ねた。彼女は、どちらかといえば頭脳派だ。冷静に分析して、最小限の動きでジェシカを護る。隙が無く、無駄が無い。
今日の仕事を終え、帰宅しようとしたときに、アダムに呼び出されたフローラとエセラ。彼女たちは今、その話を聞き終えたところ。
二人は仲良く並んでソファに座り、ローテーブルを挟んだ向かい側にはアダムがいる。
そして、このアダムの話に続く言葉。
「君たちには、ジェシカ様のその護衛を頼みたい。だが、いささかどころではなく、いくつか問題がある。だから断ってもいい。俺だって、君たちのような優秀な騎士を失いたくないと思っている」
そんな前置きは、かなり危険な内容であることを示唆しているように思えるのだが、口にしているアダムは気が付いていないようだ。
そもそも、今回の内容はジェシカが隣国のアリハンスに足を運ぶだけ。それにも関わらずその前置き。一体どういうことだろうか。
「団長。今回の任務は、そのジェシカ様の外交の護衛ですよね。普通の外交とは異なるのでしょうか」
エセラが尋ねた。彼女は、どちらかといえば頭脳派だ。冷静に分析して、最小限の動きでジェシカを護る。隙が無く、無駄が無い。