【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
2.第一号のカップル
フローラはなぜ自分がここに呼び出されているのか、その理由がわからなかった。しかも今、自分の隣にはあの魔導士団副団長であるクリスが座っている。
今日の任務を終え帰宅しようとしたとき、フローラは宰相に呼び止められた。「ちょっと話がある」と。
フローラには、断る理由も無いし、断る権利も無い、と思った。
その宰相の言葉に従ったら、ここに連れてこられた。連れてこられたまではいい。隣に座っているクリスがいなければ。
彼は泣く子も黙ると言われている魔導士団の副団長。泣く子も黙るにかかる言葉は副団長の方。彼の姿を見た者は、とにかく固まる。彼があの有名なメデューサと呼ばれる物語に出てくる生物なのではないかと思えるくらい、彼の姿を見た者は直立不動になる、とか。フローラも彼が左隣に座っているため、左側半身が動かないような、そんな気分になっていた。
「お待たせしてしまって申し訳ない」
宰相が侍女にお茶を淹れるように命じる。
「ちょっと前の予定が押しているようで。すまないが、二人で世間話でもして待っていてくれないだろうか」
そう言うと、お茶とお菓子が目の前のテーブルに並び始めたのだが。
「え?」
フローラが声をあげる前に、宰相はこの部屋から出て行ってしまった。
今日の任務を終え帰宅しようとしたとき、フローラは宰相に呼び止められた。「ちょっと話がある」と。
フローラには、断る理由も無いし、断る権利も無い、と思った。
その宰相の言葉に従ったら、ここに連れてこられた。連れてこられたまではいい。隣に座っているクリスがいなければ。
彼は泣く子も黙ると言われている魔導士団の副団長。泣く子も黙るにかかる言葉は副団長の方。彼の姿を見た者は、とにかく固まる。彼があの有名なメデューサと呼ばれる物語に出てくる生物なのではないかと思えるくらい、彼の姿を見た者は直立不動になる、とか。フローラも彼が左隣に座っているため、左側半身が動かないような、そんな気分になっていた。
「お待たせしてしまって申し訳ない」
宰相が侍女にお茶を淹れるように命じる。
「ちょっと前の予定が押しているようで。すまないが、二人で世間話でもして待っていてくれないだろうか」
そう言うと、お茶とお菓子が目の前のテーブルに並び始めたのだが。
「え?」
フローラが声をあげる前に、宰相はこの部屋から出て行ってしまった。