【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「私は、回復魔法が使えるようになりますか?」
クリスからは、この世界の魔法は四元論が基本で成り立ち、そこに属さない光と闇がある、ということを教えてもらった。光は治癒、闇は呪い、という特殊な属性だ。
クリスは彼女の問いに少し目を丸くしたが、視線をテーブルに戻した。
クリスは考えていた。
以前、フローラからブレナンを紹介したとき。彼はフローラの魔力の変化に気付いていた。その原因がクリスにあることさえも見抜いていた。
さすが、魔法騎士での一番の古株であり、彼女の父親のような存在だけある。
あの後、フローラには聞かれたくない話をブレナンと二人でしたのだが、あのブレナンでさえも彼女の魔力は計り知れないと言っていた。もちろん、それはクリスも感じていたことで。
「あなたが魔法を使えるようになったのは、一年と少し前ですよね」
クリスが前を向いているため、もう彼の息はフローラにはかからない。それが少し寂しいと思えることも不思議だった。
「はい」
フローラも膝の上で揃えた両手を見つめながら答えた。この雰囲気は、初めてクリスと顔を合わせたあのときと似ている。どことなく、ピンと張りつめた空気が漂っているのだ。あのときと違うのは、すぐ隣に彼の体温を感じるということ。あの日はもう少し離れて座っていた。
「なぜ、あなたが急に魔法を使えるようになったのか。その理由をブレナン殿と考えていました」
フローラは隣に視線を向けることなく、そうなんですね、と口にした。クリスとブレナンがこそこそと会っていることになんとなく気付いていたからだ。それが、自分のせいである、ということもなんとなくわかっていた。
「フローラ」
彼女の名を呼ぶその声が、少し震えているようにも聞こえた。
「あなたは一年と少し前に、あの男と身体を繋げましたね」
クリスからは、この世界の魔法は四元論が基本で成り立ち、そこに属さない光と闇がある、ということを教えてもらった。光は治癒、闇は呪い、という特殊な属性だ。
クリスは彼女の問いに少し目を丸くしたが、視線をテーブルに戻した。
クリスは考えていた。
以前、フローラからブレナンを紹介したとき。彼はフローラの魔力の変化に気付いていた。その原因がクリスにあることさえも見抜いていた。
さすが、魔法騎士での一番の古株であり、彼女の父親のような存在だけある。
あの後、フローラには聞かれたくない話をブレナンと二人でしたのだが、あのブレナンでさえも彼女の魔力は計り知れないと言っていた。もちろん、それはクリスも感じていたことで。
「あなたが魔法を使えるようになったのは、一年と少し前ですよね」
クリスが前を向いているため、もう彼の息はフローラにはかからない。それが少し寂しいと思えることも不思議だった。
「はい」
フローラも膝の上で揃えた両手を見つめながら答えた。この雰囲気は、初めてクリスと顔を合わせたあのときと似ている。どことなく、ピンと張りつめた空気が漂っているのだ。あのときと違うのは、すぐ隣に彼の体温を感じるということ。あの日はもう少し離れて座っていた。
「なぜ、あなたが急に魔法を使えるようになったのか。その理由をブレナン殿と考えていました」
フローラは隣に視線を向けることなく、そうなんですね、と口にした。クリスとブレナンがこそこそと会っていることになんとなく気付いていたからだ。それが、自分のせいである、ということもなんとなくわかっていた。
「フローラ」
彼女の名を呼ぶその声が、少し震えているようにも聞こえた。
「あなたは一年と少し前に、あの男と身体を繋げましたね」