【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「あなたは私と身体を繋げ、達したことでその魔力が解放された」
 フローラのその薄い青色の目が大きく開かれた。
 あれ以降、実はクリスとはそういった行為を行っていない。というのも、あの次の日、フローラが動けなくなってしまったからだ。もしかしたら、魔力に当てられたのかもしれない、とクリスは口にした。
 だが、実際は違っていた。魔力が解放されたことで、その肉体がついていかなかっただけなのだ。
「フローラ。もしかしたらあなたは、全属性を持ち合わせている貴重な魔導士かもしれない」
 全属性――。
 それは四属性の他に光と闇も扱える、ということ。特級魔導士を通り越して聖人(きよら)と呼ばれる存在になる。
 残念ながら、今、この国に聖人は存在しない。
「先ほどのあなたの質問に答えます」
「さっきの質問……」
 どの質問だろうか、と思えるくらい、フローラの脳内はいろんな情報で溢れ始めていた。
 魔力を封じられていたこと。処女を失ったことで魔力が解放されたこと。達したことでさらにそれが解放されたこと。もしかしたら、全属性の魔力の持ち主かもしれないということ。
「フローラが回復魔法を使えるかどうか、という質問ですよ」
 クリスが彼女の目を覗き込んでくる。顔が、近い。
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