【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 二人の魔力が溶け合って絡み合う。それは身体も心も一つになっていくような感覚であった。
「フローラ」
 クリスはどこか焦点の合わない目をしている彼女の髪を優しく梳いた。
 すると、その行為によってその目は光を取り戻したかのように彼を見つめ、そして優しく笑う。
 その笑顔をと彼女から流れ出てくる魔力が、さらにクリスを高めたようだ。
 いつの間にか、また芯を帯びてくる。
「フローラ、すまない」
「クリス、さま?」
「まだ治まらない……」
 繋がれば繋がるほど、互いの魔力が交じり合い、互いに流れ込んでいく。
 自我をしっかりと保とうとしないと、お互いに離れることはできない。
 フローラも失われていく体力と魔力を感じていた。全てがクリスに奪われていく。恐らくクリスもそれに気づいたのだろう。
「無理をさせましたか?」
 クリスの声が、耳元から聞こえる。それだけでまた、全身がきゅんと疼く。
 身体の全てが彼を欲している。離れたくない。一人になりたくない。だから、繋がっていたい。
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