【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
『少しあなたには負担になるかもしれませんが。アリーバ山脈を越える間は、その魔力を常に放出させてください』
『魔力の放出……』
そう言われても、フローラにはわけのわからない説明である。
『あなたの魔力は、あなたが思っている以上に強い。その魔力を周囲に見せびらかすような感覚です』
そこからクリスによる魔力放出の指導となった。
アリーバ山脈を越えている間は、魔力を放出する。ただし、山脈を超える前、超えた後はそれをやめる。特にアリハンスの王都についてからは、魔力を抑えるように、というのがクリスからの指示だった。
この状態の彼女を隣国のアリハンスへ行かせることに、クリスは違う意味で不安を覚えていたようだ。
隣国でフローラが聖人であることを知られてしまったら――。
だからこそ、魔力の制御方法をフローラに教え込んだのだ。
そしてクリスは、彼女と離れている間に、その彼女の力を信頼できる人間に相談すべきであるとも思っていた。信頼できる人間。魔導士団団長のノルトしかいない。それから、フローラの上官その二のブレナンが妥当だろう。
『魔力の放出……』
そう言われても、フローラにはわけのわからない説明である。
『あなたの魔力は、あなたが思っている以上に強い。その魔力を周囲に見せびらかすような感覚です』
そこからクリスによる魔力放出の指導となった。
アリーバ山脈を越えている間は、魔力を放出する。ただし、山脈を超える前、超えた後はそれをやめる。特にアリハンスの王都についてからは、魔力を抑えるように、というのがクリスからの指示だった。
この状態の彼女を隣国のアリハンスへ行かせることに、クリスは違う意味で不安を覚えていたようだ。
隣国でフローラが聖人であることを知られてしまったら――。
だからこそ、魔力の制御方法をフローラに教え込んだのだ。
そしてクリスは、彼女と離れている間に、その彼女の力を信頼できる人間に相談すべきであるとも思っていた。信頼できる人間。魔導士団団長のノルトしかいない。それから、フローラの上官その二のブレナンが妥当だろう。