【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「帰りは、アリーバ山脈を迂回するルートになると思います。様々な町が点在しておりますから、そこで休みながらゆっくりと戻ってきましょう」
「ええ、他の町をそうやって見るのも楽しみなの」
そこでやっとジェシカの顔が綻んだようにも見えた。
二泊三日の馬車の旅は、悪路を通ることから快適とはけして言えないが、魔獣に一度も襲われずにそれを終えることができた。もちろん、盗賊にも。これにも裏話があり、盗賊らしき気配を感じたフローラが遠隔で魔法を放って威嚇していた、という事実。それもこれもクリスとの訓練の賜物である。
アリハンスのエイヴァリー城へ着くと、ジェシカは手厚い歓迎を受けた。身なりをすぐに整えると陛下への謁見、その後、アルカンドレとの初顔合わせからのお茶会、庭の散策、と。すでに二人のことが決まっているかのような流れ。
その間、エセラがジェシカの護衛として側におり、フローラは少し休ませてもらっていた。エイヴァリー城につき馬車から降りた途端、目の前が真っ白になってしまい、少し身体がふらついたところを、なんとかエセラによって受け止めてもらえた。エセラは事情を知っているから何も言わなかったが、ジェシカ付きの侍女からはじとっと白い視線を投げつけられてしまった。
誰もフローラが影の功労者であることを知らない。
「ええ、他の町をそうやって見るのも楽しみなの」
そこでやっとジェシカの顔が綻んだようにも見えた。
二泊三日の馬車の旅は、悪路を通ることから快適とはけして言えないが、魔獣に一度も襲われずにそれを終えることができた。もちろん、盗賊にも。これにも裏話があり、盗賊らしき気配を感じたフローラが遠隔で魔法を放って威嚇していた、という事実。それもこれもクリスとの訓練の賜物である。
アリハンスのエイヴァリー城へ着くと、ジェシカは手厚い歓迎を受けた。身なりをすぐに整えると陛下への謁見、その後、アルカンドレとの初顔合わせからのお茶会、庭の散策、と。すでに二人のことが決まっているかのような流れ。
その間、エセラがジェシカの護衛として側におり、フローラは少し休ませてもらっていた。エイヴァリー城につき馬車から降りた途端、目の前が真っ白になってしまい、少し身体がふらついたところを、なんとかエセラによって受け止めてもらえた。エセラは事情を知っているから何も言わなかったが、ジェシカ付きの侍女からはじとっと白い視線を投げつけられてしまった。
誰もフローラが影の功労者であることを知らない。