【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 そして、そこで会話が終わってしまったのは、その部屋の扉が勢いよく開かれたからだ。
「ああ、二人とも。待たせて悪かった」
 そう言いながら入ってきたのは、この国の国王。フローラは驚き、すっと立ち上がる。それに引き換え、隣のクリスは優雅にお茶を飲んでいる。
(すごい、この人……。いろんな意味で、すごいわ)
 フローラの心の中は焦っていた。不敬であると怒鳴られるのではないか、と。
「ああ、座りなさい。フローラ嬢」
 まあまあ、というように手を振った宰相に、再び座るように促されたフローラは、緊張した面持ちでソファに浅く座った。そしてフローラとクリスの前に、国王と宰相が座る。再び侍女がお茶を淹れる。冷めてしまったお茶を交換してくれた。
「君たち二人が、なぜここに呼び出されたのか。それを説明しなければならないな」
 国王はゆっくりと口を開いた。
 フローラはちょっとドキドキしていた。国王が何を言い出すのか、という期待と、隣のクリスがどんな失礼な態度をとるのか、という不安と。
「まず、この国の現状について説明をしなければならない」
 なぜ国王がそんな話をし始めるのか、フローラにはまったくわけがわからない。だけど、こうやって話が始まってしまった以上は、その話を聞かなければならないだろう。
< 15 / 254 >

この作品をシェア

pagetop