【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
21.昔の男
なぜか身体が重く感じられた。動かそうとしても、そこを自由に動かすことができない。
深い闇に捕らわれ、四肢には鉛の塊のようなものを括りつけられたような気分だった。
そこで、はっとフローラは目を開ける。
「起きたのか?」
彼女の寝台に、彼女を見下ろすかのように腰をかけている男。
「え、サミュエル。なんで?」
「合鍵」
サミュエルは、騎士服のポケットから、じゃらりと鍵の束を見せつけた。その束の中の一つにこの部屋の合鍵があるということを見せつけたいのだろう。
「フローラ。俺たち結婚しよう」
「え?」
フローラには彼が言っている言葉が理解ができなかった。
サミュエルとはきちんと別れたはず。結婚も、仕事を辞めるという条件を突き付けられてしまった以上「できない」ときっぱりと断ったはずだ。
身体を起こそうとしたフローラだが、その肩をサミュエルにしっかりと押さえつけられていて、起き上がることすらできない。
「なあ、やっぱり俺たちは一緒になるべきなんだよ」
上半身をねじったまま、サミュエルの顔がフローラに迫ってきた。この後何をされるかというのは容易に想像ができる。
深い闇に捕らわれ、四肢には鉛の塊のようなものを括りつけられたような気分だった。
そこで、はっとフローラは目を開ける。
「起きたのか?」
彼女の寝台に、彼女を見下ろすかのように腰をかけている男。
「え、サミュエル。なんで?」
「合鍵」
サミュエルは、騎士服のポケットから、じゃらりと鍵の束を見せつけた。その束の中の一つにこの部屋の合鍵があるということを見せつけたいのだろう。
「フローラ。俺たち結婚しよう」
「え?」
フローラには彼が言っている言葉が理解ができなかった。
サミュエルとはきちんと別れたはず。結婚も、仕事を辞めるという条件を突き付けられてしまった以上「できない」ときっぱりと断ったはずだ。
身体を起こそうとしたフローラだが、その肩をサミュエルにしっかりと押さえつけられていて、起き上がることすらできない。
「なあ、やっぱり俺たちは一緒になるべきなんだよ」
上半身をねじったまま、サミュエルの顔がフローラに迫ってきた。この後何をされるかというのは容易に想像ができる。