【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「実は今。騎士団と魔導士団の婚姻率が著しく低下している」
 それは彼女さえ聞いたことがある。そう、元カレがそんなことを言っていた。だから、あの人はフローラと結婚をしたがっていたのかもしれない。
「結婚するもしないも本人の自由だから強制はできないのだが。まあ、結婚をしない男女が増えるとなると一つ問題がある」
 国王がそこで右手の人差し指を立てた。つまり、それが一つという意味。
「子孫の繁栄。特に騎士団と魔導士団の優秀な遺伝子を引き継ぐ子たちが生まれない、ということだ」
 結婚しないのであれば、子を為すのは難しいだろう。いや、結婚をしなくても子を為したいという選択をする女性はいるかもしれない。だが、その後のことを考えると、それを踏み出すにはいろいろと考える必要がある。
「そこで、国として何か対策ができないかを考えた。それが、先日行った1000の質問になる」
 フローラは思い出した。
 同僚と一緒に、とある一部屋に押し込められて、質問がいくつもある紙を渡され、それに該当する箇所にひたすらチェックを入れていったことを。その後、よくわからない専門家と呼ばれる人たちと面接をしたことを。
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