【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「疲れているところを申し訳ありません。できれば、私と一緒に来てもらいたいのです」
「どこに、ですか?」
「せっかく帰ってきたのに、また王宮に戻るのですが……」
「王宮に?」
「今回の件を、陛下は重く受け止められているようです」
「今回の件?」
今のサミュエルの件だろうか。
「ですが、陛下はあなたの力を知りません」
「私の力って?」
アリハンスから戻って来たばかりであるし、半分、寝起きのような状態であるし。慣れない魔法も使ったところで、とにかくフローラの思考がついていかない。
「クリス様。すみません、ちょっといろいろと追い付かなくて」
「ええ、そうですね。話をしながら王宮へと向かいましょう」
さあ、と言いながらクリスが手を差し出してきた。とにかく考えが追い付かないフローラはその手を取ることしかできなかった。
王宮の裏門はすぐそこなのに、クリスはわざとゆっくり歩いているように見えた。時間稼ぎをしているかのようにさえ見える。
「どこに、ですか?」
「せっかく帰ってきたのに、また王宮に戻るのですが……」
「王宮に?」
「今回の件を、陛下は重く受け止められているようです」
「今回の件?」
今のサミュエルの件だろうか。
「ですが、陛下はあなたの力を知りません」
「私の力って?」
アリハンスから戻って来たばかりであるし、半分、寝起きのような状態であるし。慣れない魔法も使ったところで、とにかくフローラの思考がついていかない。
「クリス様。すみません、ちょっといろいろと追い付かなくて」
「ええ、そうですね。話をしながら王宮へと向かいましょう」
さあ、と言いながらクリスが手を差し出してきた。とにかく考えが追い付かないフローラはその手を取ることしかできなかった。
王宮の裏門はすぐそこなのに、クリスはわざとゆっくり歩いているように見えた。時間稼ぎをしているかのようにさえ見える。