【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「いつもクリス様が、自分の気持ちを伝えるようにとおっしゃっていますから。私の今の気持ちです。クリス様にお会いしたかったです」
「ええ、私も。あなたに会いたかった。ですが、口づけはこちらにしてくださると嬉しいのですが」
そう言ったクリスは、右手の人差し指で自分の唇を指す。
「ですが、そちらにしていまいますと、クリス様の場合はそれだけで終わらないような気がしましたので」
ふふっとフローラは笑った。クリスもその自覚はあったため、敢えてそれ以上は何も言わず、同じように微笑み返した。
裏門から王宮の敷地内へと入り、建物の中へ。そして、フローラがクリスに連れていかれた場所は、彼と初めて顔を合わせたあの応接室。中へ入ると、錚々たる顔ぶれが並んでいた。
いつもは世話焼きおじさんの国王陛下をはじめ、宰相、そして騎士団長のアダム、さらに魔法騎士であるブレナン、それから魔導士団長のノルト。そこに魔導士団副団長のクリスが揃えば、どう見てもフローラだけ場違いな感じがする。
「フローラ、君はそこに座りなさい」
アダムに促され、フローラはクリスと並んで座る。何が始まるのか、という不安。
「フローラ。身体の方は、大丈夫か?」
アダムの問いに「はい」と頷く。
「ええ、私も。あなたに会いたかった。ですが、口づけはこちらにしてくださると嬉しいのですが」
そう言ったクリスは、右手の人差し指で自分の唇を指す。
「ですが、そちらにしていまいますと、クリス様の場合はそれだけで終わらないような気がしましたので」
ふふっとフローラは笑った。クリスもその自覚はあったため、敢えてそれ以上は何も言わず、同じように微笑み返した。
裏門から王宮の敷地内へと入り、建物の中へ。そして、フローラがクリスに連れていかれた場所は、彼と初めて顔を合わせたあの応接室。中へ入ると、錚々たる顔ぶれが並んでいた。
いつもは世話焼きおじさんの国王陛下をはじめ、宰相、そして騎士団長のアダム、さらに魔法騎士であるブレナン、それから魔導士団長のノルト。そこに魔導士団副団長のクリスが揃えば、どう見てもフローラだけ場違いな感じがする。
「フローラ、君はそこに座りなさい」
アダムに促され、フローラはクリスと並んで座る。何が始まるのか、という不安。
「フローラ。身体の方は、大丈夫か?」
アダムの問いに「はい」と頷く。