【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
23.彼の宣言
しん、という静かな空気がその部屋を覆っていた。誰が先に口を開くのかと言う探り合いにも見えなくはない。だが、闇魔法が絡んでいるという話なだけに、それの専門家であるノルトが再び口を開く。
「我々としてはその闇魔法の使い手を突き止めなければならないところなのだが。その使い手は恐らくフローラ嬢、君を狙っているのだろう」
自分の名を呼ばれたことに、フローラはさらに大きく目を見開き、そこにいる全員の顔を見てしまった。そうすると、彼らの視線は「そうそう、お前が狙われている」と言っているように見えるから不思議だった。
「私、ですか?」
ああ、と頷いたのはアダム。
「今回、サミュエルを操り、君を襲わせたことというのが理由の一つでもあるのだが。今回のジェシカ様の縁談については、上の方でも意見が分かれていてな。恐らくだが、その反対派にとって、護衛騎士である君が邪魔であると思われているようだ」
「フローラ。君を巻き込んでしまって申し訳ない」
また世話焼きおじさんが言う。
「いえ。それが私の仕事ですから」
フローラはそう答えてみたものの、この重苦しい雰囲気の中、それ以上は何も言えなかった。
「我々としてはその闇魔法の使い手を突き止めなければならないところなのだが。その使い手は恐らくフローラ嬢、君を狙っているのだろう」
自分の名を呼ばれたことに、フローラはさらに大きく目を見開き、そこにいる全員の顔を見てしまった。そうすると、彼らの視線は「そうそう、お前が狙われている」と言っているように見えるから不思議だった。
「私、ですか?」
ああ、と頷いたのはアダム。
「今回、サミュエルを操り、君を襲わせたことというのが理由の一つでもあるのだが。今回のジェシカ様の縁談については、上の方でも意見が分かれていてな。恐らくだが、その反対派にとって、護衛騎士である君が邪魔であると思われているようだ」
「フローラ。君を巻き込んでしまって申し訳ない」
また世話焼きおじさんが言う。
「いえ。それが私の仕事ですから」
フローラはそう答えてみたものの、この重苦しい雰囲気の中、それ以上は何も言えなかった。