【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「ああ、それはいい」
 国王が顔をほころばせて同意する。
「クリスが一緒であれば、今回のようなことが起こってもすぐに気付くだろうし、対処もできるだろう。それよりも、何よりも、君たち二人が一緒にいることは、この国にとっても良いことだ」
「そうそう、陛下にはご報告したいことがあったのです」
 クリスも負けずに、嬉しそうな表情を浮かべる。まさしく嬉々として。
「近々、私とフローラは結婚しようかと思っているのですが。よろしいですよね?」
 その言葉に一番動揺したのは、もちろんフローラだった。なぜ、この場でこの面子が揃っている中でわざわざそれを口にする必要があるのか。
 アダムが苦虫を嚙みつぶしたようななんとも表現し難い表情をしているし、ブレナンは父親のように朗らかに笑っている。ノルトは楽しいことになったな、とニヤニヤしているし、宰相は満足げに頷いている。
 そして国王は、嬉しそうに笑っていた。
「そうかそうか。それはめでたいな。つまり、政策がうまくいった、という証明にもなる。君たちの結婚の件については、議会で報告しても問題ないだろうか」
「はい。どうぞ、徹底的に周知させてください。私たちの関係に、他の男の入る余地が無いように、徹底的にお願いします。それから、フローラと出会う機会を作ってくださったことには、感謝を申し上げます」
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