【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「あの。発言をしてもよろしいでしょうか」
 右手を小さくあげて、フローラが発言の許可をとった。
「ああ。この場では堅苦しいのは不要だ。私の話に質問などがあったら、どんどん口を挟んでもらってかまわない」
「ええと……。私とローダー様は結婚しなければならないのでしょうか? 私のような人間が、ローダー様にふさわしいとは思えないのですが……」
 クリスの噂はフローラの耳にさえ入ってくる。だから先ほども「存じ上げている」と返事をしたのだ。
 だが、それとは逆にフローラは噂になるような騎士ではない。ただの下っ端の護衛騎士。その自分があのクリスにふさわしいとは到底思えない。
「結婚しなければならない、というわけではない。ただ、君たちはものすごく相性がいい。だから、二人で将来のことを考えてみてはどうか、という提案だ」
 それがフローラの質問に対する国王からの回答。
「とりあえず、二人とも。付き合ってみたらどうだ?」
 国王は両手をパチンと合わせた。フローラには、この国王がただの世話好きのおじさんに見えてきた。
「ですが……」
 フローラは言い淀む。
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