【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
27.彼の力
ちっ、と激しく舌打ちをしたのはアダムである。
「鍵がかけられている。おい、誰か鍵を持ってきているか」
「それが。第一宝物庫の鍵が見当たらないそうなんです」
アダムは部下の報告に眉間に皺を寄せた。いかにも、というこの状況。誰かがジェシカを第一宝物庫に閉じ込め、いや、むしろその奥にある冷牢に閉じ込めた、というわけだ。
そのやりとりを聞いていたクリス。
「失礼」
第一宝物庫の扉の前に立つ。
鍵は鉱石からできている。鉱石は土の成分にも含まれている。その土から必要な成分を抽出し、この鍵穴に合うような形を作ることができれば――。
「おいおい、クリス殿。なかなか面白そうなことをやっているな」
その声の主はブレナンであった。この騒ぎを駆けつけて、ここにやって来たようだ。
「ブレナン。この扉を開けることはできるか?」
アダムが尋ねるが、ブレナンは首を横に振る。
「今はクリス殿を信じるしかなさそうだな」
無理やりこの扉を壊すと中の罠がいろいろ働く仕組みになっている。誰がこのような仕組みを作ったのか。もちろん、魔導士団に所属する魔導士たちなのだが、それの解除というのは中に入らなければ行うことができない。つまり、扉のこちら側にいる以上、正攻法でこの扉を開けなければならないということだろう。
「鍵がかけられている。おい、誰か鍵を持ってきているか」
「それが。第一宝物庫の鍵が見当たらないそうなんです」
アダムは部下の報告に眉間に皺を寄せた。いかにも、というこの状況。誰かがジェシカを第一宝物庫に閉じ込め、いや、むしろその奥にある冷牢に閉じ込めた、というわけだ。
そのやりとりを聞いていたクリス。
「失礼」
第一宝物庫の扉の前に立つ。
鍵は鉱石からできている。鉱石は土の成分にも含まれている。その土から必要な成分を抽出し、この鍵穴に合うような形を作ることができれば――。
「おいおい、クリス殿。なかなか面白そうなことをやっているな」
その声の主はブレナンであった。この騒ぎを駆けつけて、ここにやって来たようだ。
「ブレナン。この扉を開けることはできるか?」
アダムが尋ねるが、ブレナンは首を横に振る。
「今はクリス殿を信じるしかなさそうだな」
無理やりこの扉を壊すと中の罠がいろいろ働く仕組みになっている。誰がこのような仕組みを作ったのか。もちろん、魔導士団に所属する魔導士たちなのだが、それの解除というのは中に入らなければ行うことができない。つまり、扉のこちら側にいる以上、正攻法でこの扉を開けなければならないということだろう。