【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「彼女の闇魔法は危険だ。それを彼女が備えている限り、自由にすることはできない」
 ノルトが小さく呟く。
「あの、ナッティに会うことはできますか?」
 フローラのその声にアダムは眉をひそめる。
「会ってどうするつもりだ?」
「話を聞いてみようかと」
「それは担当の騎士が行っている。何もわざわざ君が話をする必要はない」
「ですが」
 言いかけてみるが、何のために話を聞きたいのかフローラ自身も複雑な心境だった。ナッティがそのような行為に及んだことを認めたくないのか、それともそのような行為に及んだ理由を知りたいのか。
「いや、アダム。フローラに事情聴取をやらせるのも一つの手だろう。相手は女性だ。男性が相手をしては、必要な情報も聞きだせないかもしれない」
 ブレナンが言うと、説得力があるのが不思議だった。その言葉にアダムは何やら考え込んでいる様子。
「では、私も一緒にいてもよろしいでしょうか」
 クリスが小さく手を挙げた。それにブレナンは首を横に振る。
< 209 / 254 >

この作品をシェア

pagetop