【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 闇には闇を――。
 光あるところに生まれる闇。だから光でその闇を封じることはできない。一定の時間だけの拘束は可能だが、完全にそれを無効化することはできない。
 フローラの闇とナッティの闇。弱い方が負ける。
「な、なんで。あんたまで闇魔法を使えるのよ。あんた、ただの護衛騎士でしょ」
 護衛騎士でありながら魔法騎士。
 それは一部の人間にしか知らされていない。魔法騎士が護衛騎士隊に所属しているということが、そもそも異例なのだ。
 フローラはナッティの声に耳を貸さない。
 この場には他の女性騎士もいる。それから隣の部屋には、魔導士たち。
 彼女の力を晒すようなことになってしまうが、今はそのようなことを気にしている場合でもないだろう。
 フローラからも歪んで渦巻くような魔力が放出される。そしてナッティの魔力と衝突した。
 フローラは怯まない。
 ナッティは思いがけない反撃に、一歩退く。もちろんそのチャンスをフローラが見逃すはずもない。
 色の無いような気が衝突したようにも見えた。
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