【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
3.二人の休日
クリスとフローラが国の政策に則って付き合いを始めた、というのは関係者にしか知らされていない。その関係者には魔導士団団長と騎士団団長も含まれてしまった。
というのもこの二人の休暇を合わせて欲しい、という国王からの願いがあったためだ。休暇を合わせることでその二人が共に過ごす時間を少しでも多く確保したい、というのが国王の考えのようで、世話好きおじさんはここでも世話好きだった。
「おい、クリス。ちょっと、俺の執務室まで来てくれないか?」
こんな調子で彼に話しかけることができる人物は一人しかいない。
魔導士団団長を務めるノルト・ブルックス、その人である。もちろんクリスの顔は「嫌だ」と言っていた。だが、しつこくおいでおいでと手を振られているため、行かなければならないだろう。クリスは重い腰をあげた。本当に腰が重く感じるのが不思議だった。
「どのようなご用件でしょうか」
座ってもいいぞ、と言われる前に、勝手にどさりとソファに座るのがクリスという男である。
「お前。彼女、できたんだってな。良かったな」
「もう、帰ってもよろしいでしょうか」
せっかく座ったばかりだが、クリスは立ち上がろうとした。
「いや、待て。肝心な話ができていない」
「肝心な話、とは? 私が女性とお付き合いを始めた。それは認めます。それ以外に何か話があるというのですか?」
「いや。その話を詳しく聞きたい」
「詳しくも何もありません。その話を知っているということは、宰相あたりから聞いたのでしょう。あれは国の政策の一つですから。それによって私の相手が決まったと言っても過言ではありません」
というのもこの二人の休暇を合わせて欲しい、という国王からの願いがあったためだ。休暇を合わせることでその二人が共に過ごす時間を少しでも多く確保したい、というのが国王の考えのようで、世話好きおじさんはここでも世話好きだった。
「おい、クリス。ちょっと、俺の執務室まで来てくれないか?」
こんな調子で彼に話しかけることができる人物は一人しかいない。
魔導士団団長を務めるノルト・ブルックス、その人である。もちろんクリスの顔は「嫌だ」と言っていた。だが、しつこくおいでおいでと手を振られているため、行かなければならないだろう。クリスは重い腰をあげた。本当に腰が重く感じるのが不思議だった。
「どのようなご用件でしょうか」
座ってもいいぞ、と言われる前に、勝手にどさりとソファに座るのがクリスという男である。
「お前。彼女、できたんだってな。良かったな」
「もう、帰ってもよろしいでしょうか」
せっかく座ったばかりだが、クリスは立ち上がろうとした。
「いや、待て。肝心な話ができていない」
「肝心な話、とは? 私が女性とお付き合いを始めた。それは認めます。それ以外に何か話があるというのですか?」
「いや。その話を詳しく聞きたい」
「詳しくも何もありません。その話を知っているということは、宰相あたりから聞いたのでしょう。あれは国の政策の一つですから。それによって私の相手が決まったと言っても過言ではありません」