【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「ご飯を食べるだけですからね」
 フローラはしっかりと念を押した。
「その前に、ジェシカ様の様子を伺ってきてもよろしいでしょうか?」
「どこまでもあの王女は私たちの邪魔をするんですね」
 それには答えず、フローラは笑った。
 こうやって憎まれ口を叩いているクリスだが、フローラがジェシカと会うことを反対しているわけでは無いからだ。
 二人がジェシカの私室に寄ると、彼女の部屋の前にはフローラの同僚の騎士が立っていた。幾言か言葉を交わすと、ジェシカに確認してくれると言う。
「ジェシカ様もお会いしたいとのことでした」
 その言葉でフローラの顔は緩むが、同僚騎士が後ろにいるクリスにジロリと視線を向けてきた。
 こういうときは何も言わない方がいい。
 クリスはフローラと共に、ジェシカの部屋へと入る。
「ジェシカ様」
 ジェシカは寝台の上で身体を起こしていた。
「フローラ。来てくれたのね。あなたも大変な想いをしたのに、ありがとう。と、クリス?」
「ええ、王女様。我が妻がどうしてもあなた様にお会いしたいということでしたのでね。渋々ながら承知したまでです」
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