【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
父の話を聞いたフローラには、はっと思い当たる節があった。いつか、記憶に残っていないような夢をみたときだ。
「私は、生まれてきてはいけなかった?」
ずっと、聞いてみたかったそれ。生まれてきたことで母親を悲しませてしまったのではないだろうか。その命を奪ってしまったのではないだろうか、と。
「いや。シーラは君に会いたがっていた。むしろ、生まれてきてくれたことに感謝をしていた。それは私も同じだ。こういうことはなかなか照れくさくて言えないものだが。まあ、あれだ。フローラ、君が生まれてきてくれて、私たちは嬉しかったよ。幸せだった」
「だけど、私を生んですぐに、お母さんは死んでしまった」
「恐らく、聖人としての生活が長すぎたんだ。だから、フローラのせいではない」
フローラの手をクリスがそっと握りしめた。その手の上に、ポタリと涙が落ちる。
「まあ、私も。男親だからな、娘とどう接していいのかがわからないというところが正直な気持ちだ。だけど、フローラ、君が私の話を面白がって聞いてくれて、それで騎士になりたいと言ってくれたときは嬉しかった。騎士学校に送り出したまではよかったが、君の力が周囲に知られるようなことはないか、とか、いろいろと考えてしまって、な。なかなか手紙も書けなかった」
頬に涙を伝わらせたまま、フローラは頷いた。
「私は、生まれてきてはいけなかった?」
ずっと、聞いてみたかったそれ。生まれてきたことで母親を悲しませてしまったのではないだろうか。その命を奪ってしまったのではないだろうか、と。
「いや。シーラは君に会いたがっていた。むしろ、生まれてきてくれたことに感謝をしていた。それは私も同じだ。こういうことはなかなか照れくさくて言えないものだが。まあ、あれだ。フローラ、君が生まれてきてくれて、私たちは嬉しかったよ。幸せだった」
「だけど、私を生んですぐに、お母さんは死んでしまった」
「恐らく、聖人としての生活が長すぎたんだ。だから、フローラのせいではない」
フローラの手をクリスがそっと握りしめた。その手の上に、ポタリと涙が落ちる。
「まあ、私も。男親だからな、娘とどう接していいのかがわからないというところが正直な気持ちだ。だけど、フローラ、君が私の話を面白がって聞いてくれて、それで騎士になりたいと言ってくれたときは嬉しかった。騎士学校に送り出したまではよかったが、君の力が周囲に知られるようなことはないか、とか、いろいろと考えてしまって、な。なかなか手紙も書けなかった」
頬に涙を伝わらせたまま、フローラは頷いた。