【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 人を愛することに少し臆病なところもあった。自分の存在が、母親だけでなく愛する者の命を奪うことになるのではないか、と。
 だが、それは無いと言い切って受け入れてくれるフローラと出会えたこと。きっかけは国の政略だったかもしれないが、今ではそれに感謝しかない。
 初めてクリスと出会った時の驚いたような彼女の表情を今でも覚えている。もちろんフローラも彼と初めて出会った時のことを覚えていることだろう。そして、そのときはこうやって結婚することになる、ということまでは考えていなかったはずだ。
 何しろ、お試しでもいいと言われていたお付き合いなのだから。
 彼女の夜着は羽織りになっていて、胸の下を紐で留めているだけの心許ないもの。それでも彼女の魅力を充分に引き立ててくれている。
 胸の下の紐に手を伸ばしたクリスは、しゅるりとそれを解く。彼女の豊満な胸が露わになった。クリスも彼女と肌を合わせるために、自身が纏っていた衣類を全て剥ぎ取る。
 何度触れても心地よい彼女の胸の膨らみに、クリスはそっと両手を添えた。触れば触るほど、もっと触れたくなる。
 艶っぽい声がフローラから上がった。その声をもっと聴きたくて、クリスは執拗に胸を撫でまわした。触れるたびに、彼女の身体はピクリと反応する。
「やはり。あなたの身体は私を受け入れるようにできているのですね」
< 240 / 254 >

この作品をシェア

pagetop