【受賞】国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
「父さん。僕、じいちゃんの家に行くなら、母さんも連れていくから。それなら、行くよ」
 どこからともなく現われた長男のスタンが話に入ってきた。
「ボクも。母さんと一緒にじいちゃん家にいく」
 次男のヘイデンまでもがやって来た。
「ぼくも」
 三男のケビンが続けば「ぼくもー、ぼくもー」と四男のディーンと五男のデニスまでも言い出す始末。
 いつの間にかわらわらと子供たちが集まっている。
 本当にどこから沸いて出たのかと、クリスは思う。
 その騒ぎを聞きつけてやって来るのは、長女のジェニファーを抱きかかえたフローラである。
 彼女は今、魔法騎士としての仕事を休んでいる。ジェニファーがもう少し大きくなってから仕事に復帰する予定だ。
 フローラの妊娠がわかるたびに、団長のアダムは苦虫を潰したような顔をしていたが、そんな彼も結婚をしてからは、大分丸くなっている。
「あらあら。男同士で何を楽しそうに話をしているのかしら? お帰りなさい、クリス。みんな、お父さんにお帰りなさいをしましたか?」
 フローラがそう言えば、子供たちも渋々と「おかえりなさい」と口にする始末。
 特にヘイデンの口の端がふるふると震えていることにクリスは気が付いた。
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